灰羽連盟をみた

何故、今更灰羽・・・と思われるだろうか。
確かに2002年にTV放送を終了した作品だが、灰羽はいつ見ても素晴らしい作品だと思う。
事実、古臭さを微塵も感じさせないハイクオリティな作りで、脚本、ストーリー、キャラデザ、音楽等々どれをとっても洗練されていて、不足はない。
むしろ最近のアニメよりも優れているのではないかとすら思える。
それは自分がそれらの「良さ」に気づいていないだけなのかもしれないが、最近のアニメははっきり言って「薄い」。
薄いというのはつまり「中身が無い」。テーマがなかったり、そのテーマが首尾一貫してなかったりね。
最近のはロリ、メイド、妹を始めとする「萌え」だかなんだか知らないが、その「萌え」でごまかそうとしている感がしてならない。
もちろんそういう作品だけで溢れているというわけではない。
ただ、萌え要素が第一。設定は二の次…という風潮が形成されているような気がするのは自分だけだろうか。


話は戻って、つまり灰羽連盟は少なくともそういう作品には属さないと自分では思っている。
前述したとおり、この作品はハイクオリティでなにより全体のバランスが非常に良い。
登場する人、物、現象に対して「これは××で△△だから○○だ。」と簡単には定義できないところから、簡素で無味な作品でないことが分かるし、また情景等を用いた心理描写は巧みであった。
テーマも深い。…といっても理解力の無さか、未だにこの作品のテーマ(≒真髄)を理解して俺ガイル。
おそらくもう一度見る必要があるだろうな。一度や二度でこの灰羽の独特な世界観を理解するには無理ぽ。。


そんな自分だから、鑑賞後にいろいろな疑問が残った。
まず灰羽って何? 本編中でもラッカがレキに聞いていたような気がしたが、灰羽ってなんだ?
灰羽として生まれてくる条件は何だ? 何故灰羽は巣立ちをするんだ?
灰羽の存在意義は? 灰羽の前世はなんだ? 罪憑きって要するになんだ?
カラスというか、あの鳥はなんだ? ラッカのなんだったんだ?
他にもあるが、こう書き出してみるとどれもこれも不毛な疑問であるということは内緒。


そこで情報を集めようとネットを巡回していたら、
灰羽=再生前の死者。繭の夢=死ぬ間際の映像。罪憑き=自殺者(灰羽自身が自殺者という説も)」という推測を見つけた。
んん? こういう解釈に至る素材、根拠が見当たらない。そんな描写、作中にあった?
ということはこれらに沿っていくと、ラッカとクウは「空を飛んでいた」から、前世は飛び降り。レキは夢が思い出せないが、おそらく轢死か。カナは「魚のように泳いでいた」から、前世は溺死。ヒカリは「光が見えていた」から…事故か(車のライト)? ネムは「眠っていた」から…ベッドの上で安楽死or尊厳死
そしてラッカとレキは共に前世が自殺…と。
はて、この説でいくにはあまりにも無理やり過ぎないか。
特に「罪憑き=自殺者」が意味不明。自殺自体が罪になるの? もし作中の世界観がそう定義しているのなら合点がいくが。
…考えれば考えるほど頭がこんがらがってくる。。


まあこんな疑問もちらほらあるが故、テーマ性等が「深い」ということは間違いない。
そういや、役者陣が非常にベテラン揃いで素晴らしかった。
やはりノダジュンは力量がある。上手い、脱帽。感情の起伏がはっきりしてるし、特に何気ない会話をする時が上手い。なんと言ったらよいか、日常で会話しているような感じで演じられるところが凄い。型というか演じているというのを感じさせないのがいい。
…ごめん、よく伝わらない。。要するにノダジュンは凄い。


なんかまだこの作品について言い足りない気がするが、上手くまとめられないのでこの辺で。
とりあえずまだ未見の人やテーマが深い作品を見たい人は、見るべき作品。
ダダ泣き…はしないと思うが、ホロリとくる。自分はあらゆる場面でダダ泣きしましたが。
久しぶりにいい作品に出会ったと思う。個人的ネ申作認定。
よし、もう一回見てこよう。今度はクウが巣立っても、レキが助けられても泣かないようにしよう。。